思い出します・・・。

2月~3月に向けての仕事も少しずつではありますが、決まってきたものもあり、ちょっとした安堵感を覚えた今日でした。住宅や、店舗の塗り替えといった大きな仕事ではありませんが、小さなことからコツコツと。

住宅の塗り替えというと、思い出すことがあります。独立してまだ数年という頃、社員を5人ほどかかえている知り合いの塗装屋さんから、某ハウスメーカーの塗り替えリフォームの仕事を、うちの下請けという形でやらないかと話をもらいました。条件が相当厳しく、あまり乗り気ではありませんでしたが、押しの強さと、まだ駆け出しで仕事も少なかったこともあり、引き受けました。

屋根、壁、軒、破風、雨どい、雨戸、飾りの役物。高圧洗浄から始まり、下塗り、上塗りと全工程の中で行い、1件施工した手間代が、20万円~25万円。塗料はメーカー持ちですが、その他の材料はすべて負担。工期は5日。駆け出しそうそう仕事の信用を失いたくはなかったので、「きれいに」、「丁寧に」という気持ちだけはしっかり持って立ち向かおうと思っていました。

1日2人工で進めていっても、5日の工期では大変です。雑費と手間代を引いて、自分の手間が取れるかどうか・・まして丁寧にと思っていたので、烈火のごとくこなすしかありません。この工事に携わっている間は、「眠りにつく」といった優しい就寝ではなく、「気絶」にちかいものでした・・・。

そんな現場を10ほどやったころでした。ある現場で、お施主さん(奥さん)が、3時の休みにとお茶を用意してくださいました。おばあちゃんの介護と、息子さんが大学に通っているので、家計のためと膨大な内職。表情に疲労が滲んでいるのが、僕にもわかりました。

その手を休めて、一緒にお茶を頂いていると、「メーカーの営業さんから、もう塗り替えなきゃダメだと言われ、お金ないけどねぇ・・・、高いもんなんだねぇ・・この工事で220万円よ。」と奥さん。

!!!!!!!!!えっ

面食らった後、すぐに訪れた強烈な脱力感。

自分がもらった手間代を差し引いても、足場仮設費、材料代を差し引いても、メーカーと、○○塗装さんが得たマージンは・・・

それに対してお施主さんが払った不透明な代金は・・・

せめてもと思い、さらに手を掛け、サービス工事までして、お引き渡しし、以来その現場を最後にこの仕事は断りました。営利目的とはいえ、ショックでした。

営業や、宣伝は小さくとも、技術に優れた若い職人さんはたくさんいらっしゃると思います。職歴20年、30年といったベテランの職人さんから比べれば、自分もまだまだ若造です。そんな若い世代の職人さんたちが、営利的な主体の小さな歯車として取り込まれ、その中でしか生業にならないような味気ない職人世界にだけはなってほしくないものです。

先ほど、岡山県の國米社長から電話を頂き、2月初旬にリグレーズ工業会の新年会、講習会が予定されていると御一報頂きました。とても楽しみにしています。

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